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2018年11月20日 ・・・ 失敗から学ぶ

表大なれば裏大なり、
二つのものの共生関係で成り立っているものは、
その二つがバランスが取れた状態であることが求められます。

このバランスが取れているらこそ適正な循環が起こり、
いつまでもその共生関係を維持していくことができます。

昨日「牛乳で食中毒」で書いた
口から入れるものと排泄の関係も、
口から入るものが少なければ飢餓や栄養失調になり、
排泄が滞るとメタボや病気になってしまいます。

口から入れるものが表、陽とするならば、
排泄、排出する方は裏であり、陰となります。

人間は日の当る陽の方ばかりに目がいきがちですが、
本来は陰陽の順序であり、
陰、排泄、排出の方をまず考えていかなければなりません。

呼吸も、呼という吐く方が先に来ているように、
外に出すことがまず大切です。


ただその流れが順調にいっている好調期は、
入れる方、表側の方にばかりに目がいってしまっても、
それでも強い流れの勢いで、循環はうまくいくものです。

若くて体力のある時は、
夜更かしが続いても、暴飲暴食しても体力的に堪えることはありません。
けれど年齢を重ねるにつれ、
生活全体のバランスを取る必要がでてきます。


成功と失敗もまた表と裏の関係にあるもので、
成功から学ぶことが大きいのと同様、
また失敗からも大きな教訓を得ることができます。

これもやはり好調な流れの時は表の成功の方ばかりに目がいき、
失敗を振り返ることが少なくなる傾向があります。

何か物事を習得するのに、
成功事例を見て、それを模倣することが最短の方法です。

けれど多くの人が実体験として感じておられるように、
何か上手くいった時よりも、
失敗して痛い目を見た時の方が、
学びとして多くのものが体に刻み込まれるものです。

自ら経験し、学び、数々の失敗を通して高い判断力を身に付けることが、
己の知恵となり、それから先様々な物事への対応力として昇華していきます。


日本は戦後急速に経済発展する過程で、
早く結果や効果を求めるあまり、
この失敗から学ぶという姿勢を忘れてしまったように感じます。

高度経済成長の時は、
とにかく効率優先で、マニュアルをしっかりマスターし、
均質なものをより速く、大量に作れるものが善とされてきました。

生物の種としての強さは多様性にあり、
どんな環境変化にも耐えうる力がなければ、
長期的に種としての生命を保つことはできません。

ただし短い期間に於いて、大きな環境変化がないとするならば、
多様性は非効率的であり、
均質なものこそが大きな成果を上げることができ、
日本は戦後、その方向で歩んできたと言えるでしょう。


そういう意味で、日本人は失敗を見つめ、
それを時間をかけて冷静に分析し、
そこから大きな教訓を得るということが下手になったように思われます。

また日本人は、明治維新と終戦で、
二度大きな意識変化を、
自らの意志ではなく外圧によってもたらされ、
それによって、日本人は精神分裂症(統合失調症)気質になり、
失敗をした時などにはヒステリー症状のようなものを
起こす傾向があるように感じられます。

失敗を冷静に受け止めることができなければ、
それはさらなる大きな失敗を生み出す原因になりかねません。


このホームページで原発のことを何度か書きました。
自分は原発は将来的には必ず廃絶しなければならないものと考えています。

けれど今の段階で既存の原発をすべてストップするのが
本当にいいのかどうかは大きな疑問であり、
これは極めて冷静に判断しなければならない問題です。

放射能とは目に見えない、
また身近に感じ取ることのできないものだけに、
人間の根底にある死への恐怖心を煽るとても恐ろしいものです。

そしてそれゆえに、原発問題は冷静に対処し、考えることのできない
難しい問題となっているように感じます。

原発が危険なものであることは事実です。
けれどかと言って、現段階で原発に代わりうる自然エネルギー発電はなく、
昔からの化石燃料を燃やして発電する方式も、
人命に対する影響は、さらに大きくなるものばかりです。



図だと見にくいので以下に再掲
エネルギー源      発電量TWh当たりの死者数(括弧内はエネルギーシェア)
石炭(世界平均)    161(一次エネルギーの26%、電力の50%)
石炭(中国)      278
石炭(アメリカ)    15
石油          36(一次エネルギーの36%)
天然ガス         4(一次エネルギーの21%)
バイオ燃料・バイオマス 12
泥炭          12
太陽光(屋根上)    0.44(一次エネルギーの0.1%未満)
風力          0.15(一次エネルギーの1%未満)
水力(ヨーロッパ)   0.10(一次エネルギーの2.2%)
水力(板橋事故込)   1.4
原子力         0.04(一次エネルギーの5.9%)


化石燃料を燃やして大気が汚染され、
それによって喘息や肺がんで命を落とすより、
目に見えない放射能で生命の危機にさらされる方が、
心理的恐怖感ははるかに高く、
その恐怖感は数字の問題を越えています。
まずはそのことをしっかりと自覚する必要があります。

福島の原発事故はあってはならない恐ろしい事故でしたが、
それを繰り返さないためにも、
その失敗を教訓として活かすことが必要です。

冷静さを失い、ヒステリックに原発を非難し、
まるで『臭いものに蓋をする』が如く
すべてを否定する態度では何も得るものはありません。

またそういった姿勢こそが、
原発事故以上に将来に大きな災いをもたらすものとなのではないでしょうか。

これは「復興の精神」という本の中の養老孟司の言葉です。



今回の事故から、他の原発ですぐに活かせる教訓はいくらでも学べるはずです。
そこで気をつけないといけないのは、糾弾をやりすぎることです。
これだけの被害が出ているから、責任は問われてしかるべきですが、
過度になると、関係者が正直に報告をしなくなる可能性があります。
すると結果的に教訓を得にくくなります。


失敗を振り返るというのは難しいことですが、
今のように古い価値観が崩壊しつつある時だからこそ、
過去のまずいところを検証し、
それを将来への糧として活かしていくことが強く求められます。

真の失敗とは、失敗を活かすことができないことです。



2018.11.20 Tuesday  
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