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2017年7月4日 ・・・ 人生二度なし

人間の持つ肉体的生命は有限であり、
その寿命はおよそ百年弱ですが、
内面に宿る魂は時空を越えた存在であり、
肉体は輪廻を繰り返すたびに滅しても、
魂はその輝きを永遠に失うことはありません。

これは書物から得た知識ではなく、
これまでの人生における体外離脱や霊的な体験から、
信じているという状態を越えた、
“知っている”と表現すべきものです。


ですから今世与えられたこの生に対しても、
肉体的生命の有限性よりも、
魂の永遠性の方にどうしても意識が傾いてしまいます。

普通の人が考えるであろう、
自分の今の年齢がいくつなのか、
老後はどうなるのか、
そういった肉体年齢によって生じる諸々のことに、
まったくとは言わないまでも、
ほとんど意識がいかないのです。

それは気ままな一人暮らしをしているということもあるでしょう。
またこれまでまったく健康に不安を抱いたことがなく、
異常なまでに体調がいいということも一因であろうと思います。

ですがそういう状態であるというのも、
自分に与えられた今世の使命を果たすための条件なのだと感じています。


人間は極めて長い年月をかけ、
数え切れないぐらいの輪廻を繰り返し、
それぞれの生で多くのものを感じ、学び、
少しずつ何かを積み重ねながら解脱への道へと進んでいきます。

その時間的スケールは想像を絶するほど長大なものであり、
そこに意識を向けていくと、
今目の前にある現実社会の細々としたことは
実につまらないもののように思えることがあり、
それが大きな視野で物事を捉えることにつながればいいのですが、
ややもすれば現実逃避、浮き世離れといったことにもなりかねません。

実際に宗教やスピリチュアリズムに傾倒する一部の人は
そういった傾向にあるように感じます。

そして自分自身を振り返ってみても、
現実を見るよりも理想を追い求めることに情熱を燃やし、
抽象的な理論や概念に強い関心を抱く典型的なスピリチュアルタイプです。


この時空の基本構造は調和の取れた太極であり、
ひとつの極には、それに対応する対極のものがあって
はじめて調和を取ることができます。

自分の場合、永久の生命に意識が傾きすぎ、
有限の生命、時、今というこの瞬間を粗末に扱いすぎていたことを
最近強く感じるようになりました。

強く感じるようになったということは、
己の内面からそれを克服するべき時が来たということを
示してくれるサインなのだと感じます。

ここ一ヶ月ほど、
食べ物をよく噛むことを強く意識しだし、
実際にそれが実践できるようになりました。

これは己の内が少し変わってきたということなのだと感じます。
食べ物をしっかり噛めるということは、
今というこの瞬間をしっかりと噛みしめることそのものです。


時を管理するツールに手帳があります。
ここ一二年は大きなA5判のシステム手帳を愛用し、
そこに自分の夢、目標、座右の銘や学んだことを書き留めていて、
この手帳をしっかりと使いこなすことが自分にとって大きなテーマとなっています。

日々の予定は手帳のカレンダーに記入していますが、
あまり字が上手ではないので、
いつでも修正できるよう、シャープペンシルで書くようにしています。
本当はボールペンで書いた方がいいのになと思いながら ・・・ 。


一昨日、いつも見ている「東洋経済オンライン」に、
『フランスの子は勉強の際に「鉛筆」を使わない』という記事が載っていて、
それを読んで強い衝撃を受けました。

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今は仕事のほとんどをパソコンを介して行っていて、
そこで作り上げたほとんどのものは容易に修正を加えることができます。

好きな音楽は昔はレコードで聴いていて、
レコードは聴くたびに溝がすり減る消耗品であり、
その音溝をピックアップする針もまた少しずつちびっていくものでした。
ですからレコードを聴く時は、
それこそ魂をすり減らすような思いを持って耳を傾けたものです。

そう思うと今は便利な世の中になり、
何度でもやり直しのきくこと、
繰り返すことができるものが身の回りにあふれていて、
ものの有り難み、今というこの時の大切さ、
そんなことを感じにくくなっています。


何度でもやり直しのきく、
ただ流されるままに今を生きていればいい、
自分がそんな『消しゴム人生』を歩んでいることを
その記事を読んでいて気づかされました。
その表れが手帳に記入する時に使うシャープペンシルに出ていたのです。

その日から、手帳には青のボールペンで予定を記入するようにしました。
消すことのできないボールペンを使うと、書く時の心持ちがまったく違いますね。
大げさな言い方ですが、少し張り詰めた緊張感が心地いいです。
これからは手帳以外のものにも、
なるべくボールペンを使っていきたいと思います。

そう考えてみると、最近は字を書く機会が減りました。
ほとんどがキーボードを介して打つ文字ばかりです。

それでもハガキは人より多く書く方で、
ハガキに一文字一文字刻むように書き綴り、
余白と書きたいことの文字数を頭の中で考えたりするのは、
意外と楽しい作業だったなということに今さらながら気がつきました。


消しゴムを使わない、今というこの時と真剣に対峙する生き方、
偉大な教育者である森信三先生の『人生二度なし』という
有名な言葉がありますが、
今日からこの言葉を今一度しっかりと心に刻み込みたいと思います。

消しゴムで消すことのできないボールペンを使って。

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