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2016年8月9日 ・・・ インド映画

インドで長距離移動する際は、列車かバスを利用します。
列車はほとんど電化されていないのでディーゼルの汽車で、
バスは公営のものと民間のものがあります。

列車の方が多少運賃が安いので人気があり、
長距離路線は何日も前に予約しなければチケットが取れず、
必然的に移動のほとんどはバスということになってしまいます。

近距離の場合は公営バスを乗り継ぐこともありますが、
ある程度の距離がある場合は民間のバスを利用します。
民間のバスは日本の観光バスと同じく快適で、
料金は多少上がるものの、日本の感覚では激安プライスです。

夜行バスの場合は、日本にはない寝台仕様のものに乗ることにしています。
中央の通路を挟んで片方がシングル、もう片方がダブル、
それが上下二段になっているというのが標準仕様で、
料金は日本円で二千円弱といった感じです。



寝台そのものはとても快適なのですが、
トイレ事情の悪い環境で育ったインド人はトイレの利用回数が少なく、
なかなかトイレ休憩がないのが悩ましいところで、
寝台バスに乗る祭は、極力食事や飲み物を控えるようにしています。

昼間に乗る普通のバスも、
ゆったりとしたシートでその点はいいのですが、
運転席真後ろの上に取り付けられたテレビモニターから、
けたたましい音を伴ったインド映画が絶えず流れているのが、
時としてかなり苦痛に感じられます。


この春にインドに行った時も、
トリチーからチェンナイに移動するのに昼間の民間バスを利用しました。
あまり後ろの方に座ると、何かトラブルがあった時に困るので、
前から二番目の席に座ったのですが、
そこがあいにくスピーカーの真下の席で、
耳をふさぎたくなるような大音量に数時間さらされることになりました。

いつも行く南インド タミルナド州はタミル語圏で、
映画の中の会話もタミル語が使われていますが、
日本以上に日常に英語が浸透しているお陰で、
英語の単語やフレーズが随所に出てきて、
それを聴き取れると嬉しくなります。

またインド映画のストーリーはほとんどが単純で、
アクション、コメディー、恋愛、そして歌と踊り、
これらが渾然一体、ごった煮状態になっていて、
ただ訳も分からず画面を見ているだけで結構楽しめます。

インド映画は、昔の日本がそうであったように、
みんなで楽しむ大衆娯楽の代表であり、
インド人の国民性そのものが明るく活気に満ちて元気いっぱいなので、
そのキャラクターが映画にも表れています。

底抜けに明るくパワフルなインド映画は、
ボリウッド、マサラムービーなどと呼ばれ、
急激に伸びゆくインドの経済、文化を象徴するもののひとつです。


そのバスの中の映画では、
水戸黄門のように、完璧に善人と悪人とに分かれた濃いキャラクターの俳優たちが、
大声を上げて殴り合ったり追いかけ回したり、
恋人とか語らったり歌ったり踊ったり、
相変わらず面白おかしい場面をめまぐるしく展開しています。

これはそんなタミル語の映画「Theri」の予告編、
映像を見ているだけで色とりどり盛りだくさんで楽しめます。



この映画のヒーローがヴィジェイという俳優で、
ホームの子どもたちから絶大な人気がありました。
インドのヒーローは、ちょっと小太りのちょい悪タイプが多いのです。




そんな面白おかしい映画が何本か流れた後、
これまでとは趣を異にした、荘厳という言葉がピッタリとくるような大作が現れました。
雄大な自然をバックにした神話に基づくストーリーで、
ひとつひとつの場面が実に丁寧に作り込まれ、
ハリウッドの超大作にも負けない完成度です。

画面にはかなり速いスピードですが英語の字幕が表示され、
なんとなくストーリーは把握することができました。
この映画のことがすごく気になったので、
休憩の時に近くの席の人に尋ねると、
映画のタイトルは「バーフバリ Bahubali」といい、
元はテルグ語の映画とのことです。



予告編を見ただけでそのスケールの雄大さが分かります。
その上、インドが誇る最高のCG技術がふんだんに取り入れられているのですから、
過去から現在に至るすべての映画の中でも
最高峰のひとつと言っても過言ではありません。

この映画の制作費は25億ルピー(50億円)、
原版はテルグ語で作られた、タミル語のものも同時公開され、
順次ヒンディー語、マラヤーラム語、フランス語版も公開されました。

壮大な大自然はCGの手も加わっているようですが、
序盤のメイン舞台となる大滝は、
いつも行く南インド タミルナド州の南隣のケララ州にある
幻の大瀑布と呼ばれるアティラパリー滝で、圧巻のスケールです。

壮大な自然と完成度の高いCG、
神話に基づくストールと緻密な演出、
マクロ的にもミクロ的にも極めてすごい映画であり、
これが現在の発展するインドの勢いというものです。
残念ながら、今の日本でこれに匹敵する作品を作ることはできないでしょう。

あまりにもすごい映画だったので、
チェンナイのDVD販売店に行き、
英語字幕のある「バーフバリ」をお土産に買って帰りました。

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日本語版は未発表のようですが、
これだけの作品、是非とも多くの日本人にも観てもらいたいものです。

この映画の名シーンを集めた動画も見応えあります。




それと最近観たインド映画「きっと、うまくいく」、
これがまた最高でした。

知り合いから是非観た方がいいよと勧められていたのですが、
近所のツタヤではいつもレンタル中で、
三ヶ月ほど経ってようやく観ることができました。

ところで日本版の予告編って誰が作るのでしょう?
この予告編はほとんど最低レベルの出来で、
本編とは別の意味で面白おかしく楽しめます。 (;^_^A



この映画は、インドの一流大学に通う学生たちの、
その学生時代と将来とを平行させながら描いたコメディーです。

これはとてつもない名作です。
脚本が実によくできていて、
三時間弱の間に何度も笑い、涙しました。
一本映画の中でこんなに心動かされたのは初めての経験です。

この映画を観て初めて知ったこと、
それは涙するような感動の力は、
シリアスなものよりもお笑い満載のコメディーの方が大きいということです。

なぜならば、感動を呼ぶにはそれにふさわしい状況が必要ですが、
それがあまりにも出来すぎていると不自然に感じ、
シリアスなものは感動すると同時に心の中で冷ややかな目で見てしまいます。
韓流ドラマなどはその典型です。

それに対してコメディーは、元々作り物だという目で見ているので、
本来あり得ないような状況でもそこに不自然さを感じず、
かえってお笑いであるがゆえ日常の延長のようなリアルさを覚え、
笑いながら、いつしか涙がこぼれるのです。
チャップリンの名作もこんな感じですね。

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それともうひとつ深い感動を呼ぶ要因が、
コメディーでありながら、
インドが抱えている様々な社会問題をテーマとし、
それと真摯に向き合っているところです。

受験、学歴、試験、就職、結婚、友情、親子や兄弟との愛情や確執、
身分制度や貧富の差、
それらを笑いと交えて提示する手法は見事としか言いようがありません。

またひとつひとつの台詞のやり取りがとても面白く、
後で思い出してニヤニヤしてしまう箇所がいくつもあります。

他にもすべてに於いて無駄がなく、
途中で出てきたシーンが、後で意味を持つところもたくさんあります。

これは絶対に観るしかありません。
近所のツタヤにレッツ・ゴー!です。


これはヒロインが恋に落ちるシーン、
その後はインド映画お決まりの歌とダンスです♪



このシーンに至る少し前からの流れも実に素晴らしいんです。
ビデオで何度も繰り返し観ました。
動画の最初でヒロインの髪が少し揺れていますよね。
これにも意味があるんですよ♪


インド映画、インド文化恐るべしです。
大げさな言い方かもしれませんが、
映画はその国の国力を表すバロメーターではないかと感じます。

インドを深く愛しているものの、
これまでインド映画を観る機会はあまりなかったので、
これからはインド映画をたくさん観て、
歌い、踊り、インド人なみの陽気さを身に付けたいと思います。 (^o^)v

2016.8.9 Tuesday  
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