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2016年6月16日 ・・・ 書くということ

先日「感情を切り離す」で、
目の前で起こった出来事、問題によって感情を振り回されないようにするためには、
その対処法を冷静になって考え、それを紙に書き、
問題と感情とを切り離すことが大切だと書きました。

書くというのは、主には思いや状態といった目に見えないものを
文字という形あるもので書き記すことであり、
目に見えない思いと目に見える文字とは陰と陽の関係で、
互いに補い合うことにより、
より大きな力を発揮することができます。

誰かにお世話になった時、
口頭で「ありがとう」とお礼を言うと相手の方は喜ばれますが、
少し時を置き、感謝の思いが綴られたお礼状が届いたら、
その思いはより深く相手の心に響きます。

形のあるものないもの、口頭で発する言葉、書き記された文字、
すべては役割が異なり、
それらをどの様に活かしていくかが生きていく上での大切な知恵となります。


書くというのは文字を書くということ。
文字とはひらがな、カタカナ、漢字であったり、あるいはアルファベットであったり、
いずれにしても記号で示されたデジタル情報です。

思いは本来漠然としたアナログ情報ですから、
それを正確にデジタルである文字で表すことはできません。
文字にできるのは思いの概要を示すことであり、
その概要をどうアレンジして文字にするかがその人の筆力となります。

また思いをなるべく正確に、またいい形で伝えようと文字を綴ることにより、
自らの思いそのものが変化していくこともあります。


平成の時代に入ってすぐの頃、
日々数十枚のハガキを書き、自らの人生を拓き、
ハガキ道というものを提唱する坂田道信先生と出会い、
ハガキを書く大切さを学ばせていただきました。

ハガキを書くことは、心の中を感謝の思いで満たす『感謝行』であるとも言えます。
ハガキには相手を非難することは書きません。
相手の悪い点を注意するのは口頭、その場で、
お礼や感謝の思いを伝えるのは文字で、間接的に時間をおいて、
これは人とのコミュニケーションを取る上での大原則です。
  (※ 極めて大切なことなので、是非とも心に刻んでください!)

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ハガキを書く時は、送る相手のことを頭に描き、
その人に対する感謝の思いで満たし、
それを文字にしてハガキの上に書き綴っていきます。
そうすると、その文字自体が力を持ち、
今度は文字の方が力を持って自分に返ってくるのです。

相手への思いを文字に変換し、増幅させ、
その増幅された文字の力によって自らの思いもまたさらに膨らんでくる、
感謝のハガキを書くことは自らを磨く感謝行であり、
また写経に通じるものもあります。

『ハガキは書くのではなく、書かせていただくもの』、
これはトイレ掃除も同様であり、深い真理です。


思いや口頭で発する言葉が一過性のものであるのに対し、
書く文字というのは、
いつまでもその内容が変わらずに残る永続的なものです。

親から子へ、先祖から子孫へと繰り返し伝えられていく遺伝子DNAは、
ATGCという四つの塩基で構成されたデジタル情報物質であり、
時間をかけて正確な情報を伝達をするにはデジタルが優れています。

文字はその場その時の思いや状況を正確に分析する力があると同時に、
計画や目標といった将来に向けたものを記録するのに適しているのです。

「よし、やるぞ~!」
「でっかい夢を叶えてやる!」
そんなことを思ったり、口で叫んだとしても、
それを文字として記録していなければ、
いつか頭の中から消え去ったり、
時間の経過とともに都合のいいように変わっていったりします。

もしあなたが夢や目標、計画を持っていても文字にしていない、
あるいはできないとしたら、
それらがきちんとした現状分析から発したものではないからなのかもしれません。
つまり机上の空論ということ、
それを自分の心が知っているから、
それを文字化することを拒んでいるのかもしれません。

今の現状で、まずは何をするべきか、
そしてそこから将来に渡って夢を実現していくためのステップは
どのようにあるべきか、
それを文字という客観的で逃げも隠れもできないものにしていけば、
自分の思い、日々の行動、夢、計画に、
どんな無理があり、それを拒む課題は何なのか、
今本当にするべきものは何なのか、
そういったものがすべて明らかになってきます。

文字とは漠然としている思いとは真逆の、
極めて冷静な分析ツールです。

そしてその文字を使って分析すると同時に、
ハガキ道と同じく、その文字の力を借りて
自分を望む方向へと導いていくことができます。

それが夢であり計画、目標です。


このようなことは別段ここに書くまでもなく、
誰しもが分かっていることとは思いますが、
この “書く” ということを自己啓発のツールとするには、
思いを振り切るための大きな一歩が必要です。

それはただ単にめんどくさいというだけではなく、
人間は誰でも心の中に「現状を変えたくない」という思いを持っていて、
それが変革を拒むという一面があります。

自分の場合は、その一歩を踏み出すために
昨年から通常より大きなA5版のシステム手帳を持つようにし、
そこに様々な夢や計画を記しています。

思いを文字として記すこと、
そして永続性のあるその文字は、
随時読み返し、軌道修正したり検証をしていかなければなりません。
そのためにも文字情報はきちんと分かりやすい場所に
集約しておく必要があります。

パソコンの操作が分からないとか、
パソコンに不具合が発生したとかで、
いろんな会社やお宅にお伺いする機会が多いのですが、
この情報の集約というのがしっかりとできていない場合が多いことに驚かされます。

パソコンのフォルダー分けがきちんとできておらず、
同じ仲間のファイルが方々に散らばっていたり、
ひとつの階層に膨大な数のフォルダーやファイルが並んでいて、
目当てのものを見つけるのに多大な時間がかかることがあります。

また極めて大切な各種ID、パスワードがきちんと記録されておらず、
それを探すのに一苦労したり、
またどうしても分からないのでサポートに問い合わせたりしたりで、
時間を小一時間も浪費することがたびたびです。


これは文字だけではなく、すべてのモノ、または思いでもそうなのですが、
本当に大切なものは何かを見極め、
それを活かせようにまとめて残すとことが大切です。

セキュリテイー上パスワードを記録することはできませんが、
手帳が情報ツールとして優れているのは、
手軽に持ち運びできるにも関わらず、、
工夫次第でいくらでもそこに大切な情報を集約させることができることです。

そしてその大切な情報を日に何度でも見返すことができ、
こんなに素晴らしい情報集約、目標管理、現状分析、自己啓発ツールはありません。

今も毎日英語を学習していて、
以前は新しく覚えた英単語を専用のノートに記録して
それを持ち歩いていたのですが、
そのノートがどこにいったか分からなくなることがたびたびあり、
また読み返す機会もなかなかなかったので、
つい数日前から、システム手帳の中に覚え立ての英単語を書いたノートも
挟み込むことにしました。

情報集約ツールとしてのシステム手帳は日々着実に進化していて、
この手帳の内容こそが現状を正確に分析するアンカー(錨、いかり)であり、
将来の夢へと導いてくれる羅針盤です。
またそうあらねばならないと考えています。


書くということ、それは思いを心に刻み込むとても大切な行為です。
坂田道信先生をハガキ道へと導いたのは、
偉大なる教育者、哲学者である森信三先生とともに、
熊本の小学校教員であり鉄筆の聖者と謳われた徳永康起先生です。

徳永先生は教え子たちにたくさんのハガキを書くと同時に、
当時ガリ版刷りであった学級新聞を毎月欠かすことなく書き続けられました。

その学級新聞の内容があまりにも素晴らしいので、
そのガリ版に文字を刻むための鉄筆にちなんで、
今も鉄筆の聖者と讃えられています。

凡庸な自分は、徳永康起先生とまったく比較にならない存在ではありますが、
その鉄筆のことを思い、
文字は鉄筆のように心に刻むもの、それをいつも忘れないよう心がけています。

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